2-3 今後ICTに求められる役割
2-3-1 有識者へのインタビュー調査
次世代ICT社会をテーマに、国内の有識者(ICT、社会学、経済学、経営学、都市工学、デザイン、精神医学等の分野の専門家、研究者、ジャーナリスト)及び海外のICT研究者、企業に対して、下記の4 つの質問について、個別インタビュー、デルファイ調査(詳細アンケート調査)を実施。
72 名(国内40 名、海外32 名)から回答を得た。
質問1-次世代ICT社会の方向性についてどう考えるか?
質問2-次世代ICT社会に対して期待することは何か?
質問3-次世代ICT社会に対する懸念点、不安は何か?
質問4-次世代ICT社会の今後の展望(人々の生活、ライフスタイルの変化等)への意見
主たる回答は以下のとおり。
① 次世代ICT社会の方向性について
・ 20 世紀はテクノロジー中心で人間疎外だった。これからの社会のビジョンは「人間」を中心に置いて考えることが重要
・ 心の豊かさとして、親密な人とつながることを多くの人が求めるようになってきた
・ これからのICTは、ライブ感、リアルな場と、どうつながっていくかが重要
・ ボランティア社会というのが始まっている。貨幣的価値よりも、意味的価値(人との出会いの喜びや自分の行為を他者に承認されたことへの感動等)を重視する社会になってきている
・ これまでの多数のメディアが並列に存在する社会から、様々なメディアが同時に多層的・多元的に存在し、且つそれらがお互いに相互作用している社会に移行している
・ スペース(空間)をプレイス(活動の場)に転換し、人々の多様な生き方を支援する
・ リアルとバーチャルの「オフ(現実)・オン(ネット)融合」が新たな可能性を開くことになる。人の営みは「オン」だけでは完遂できないが、「オン」が可能になったことで、斬新で新鮮な可能性がうまれた
・ ICTの進展は、1:1から、1:Nへ、そしてN:Nへの情報の流れが拡大していく
② 次世代ICT社会への期待について
・ 情報洪水の制御が可能となり、情報のカスタマイズ化が実現する
・ 高齢者支援や緊急支援が機動的に実施できる
・ 地域社会の中で、みんなで知恵を出し合って様々な課題を解決していくライフスタイルが育まれ
ていく
・ つながりたい(孤立不安からの逃避)と、つながりたくない(自由時間の確保)の両立がICTで実現すれば、本当の心の豊かさにつながるだろう
・ コンピュータが膨大な情報から知識を発見する「人工知能(AI)」ではなく、人間同士が自然に、無意識にコラボレーションやコーディネーションを実現する「知的増幅(IA:Intelligent Amplifier)」が求められている
・ 地縁や血縁が薄れてく中で、ICTを介して新たな「つながり」や「連帯感」が醸成されるのではないか
③ 次世代ICT社会の懸念点、不安について
・ 技術を中心に社会を変えようとすると、人々はそれを抑圧(技術が勝手に押し付けてきた社会)と受け取り、受容しない傾向が強い
・ 子供達の持つ抽象性や思いを抹消してはならず、ICTはあくまで手段として、自発性をフォローするものであるべき
・ 自分の情報が吸い取られると考えると、気持ち悪い
・ 一定便利になることはわかるが、逆に不便になる面も多くあるような気がする
・ ICTが「自己」を先取りしてしまう社会では、自己の「責任」の範囲があいまいになる
・ 「情報洪水が人々を襲う」、いわゆる「情報オーバーロード」が問題だ
④ 次世代ICT社会の展望(人々のライフスタイル、価値観、意識の変化)について
・ 日本人は、従来の「奥ゆかしさ」や「曖昧さ」といった感覚を失っていく
・ やすやすと国境を越えてしまうようなつながりの方がリアルに感じられるようになる
・ 素人と玄人の境界が曖昧化していく
・ 利便性が向上してライフスタイルが変化しても、価値観や意識は変化しない
これら有識者の意見とは別に、将来のICT社会を展望すべく、人々のライフスタイルやビジネスの世界で現在起きている新たな流れを見てみると、経済危機以降の人々の意識の変化や環境の変化を背景に、モノ・サービス・情報のシェアを進める動きがあり、ICTがそれを促進している。そうした動きと相まって、ICTが協調活動、創造活動を支援するものとして、ネットを活用した少額融資(マイクロファイナンス)の仕組みも注目されている。
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次世代ict社会の実現がもたらす可能性に関する調査 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h23_05_houkoku.pdf |





